
CATEGORY
滑走路・管制
航空管制官は無線通信によりパイロットに指示を出したり、さまざまな情報を提供します。また、一方、他の航空管制官と連絡を取り合って航空機の安全運航を維持しています。その際に用いられる用語は国際民間航空機関(ICAO)によって定められており、各国ともこの文書にある標準用語を用いています。主に英語が使われますが、日常会話のような英語ではなく、専門用語となります。航空管制用語には、航空会社の呼名+便名やターミナル航空路管制の名称を伝える「コールサイン」、アルファベットを識別しやすくするために「フォネティックコード」なども含まれます。
飛行場灯火にも離着陸する飛行機にその飛行経路を示す進入路指示灯、滑走路の中心線を示す滑走路中心線灯、着陸時の正しい進入角度を示すための進入角指示灯など、その種類は数十種にもおよびます。また、用途に応じて色や灯色、配置も定められています。4本の滑走路がある羽田空港には、各滑走路にこうした飛行場灯火があるため、すべてを合わせると、その数はなんと約1万6000灯にも及びます。また、エプロン照明灯を合わせると、総数は約1万7000灯となります。

滑走路には航空機が着陸する時の制動距離の短縮や雨天時のハイドロプレ-ニング現象による事故防止のために「グルービング」と呼ばれる溝があります。このグルービングは 国土交通省航空局が定めた「空港土木施設設計要領」に、滑走路の横断方向に幅6mm、深さ6mmの溝を幅32㎜間隔とすることが明記されています。この数値を維持するために、羽田空港では定期的にグルービング工事が行われます。

1日数百便が離着陸を行う羽田空港。視界不良時でも安全に着陸できるよう、各滑走路にILSと呼ばれる計器進入システムが設置されています。ILSは電波により適切な降下経路(縦方向・高さ)へ誘導するグライドパス、進入方向(水平方向)を誘導するローカライザー、滑走路の着陸進入端までの距離を知らせるマーカービーコンで構成されています。空港に隣接する羽田イノベーションシティや京浜島つばさ公園、城南島海浜公園から見える、滑走路付近の赤い柵のような装置はILSのローカライザーです。1日数百便が離着陸を行う羽田空港。視界不良時でも安全に着陸できるよう、各滑走路にILSと呼ばれる計器進入システムが設置されています。ILSは電波により適切な降下経路(縦方向・高さ)へ誘導するグライドパス、進入方向(水平方向)を誘導するローカライザー、滑走路の着陸進入端までの距離を知らせるマーカービーコンで構成されています。空港に隣接する羽田イノベーションシティや京浜島つばさ公園、城南島海浜公園から見える、滑走路付近の赤い柵のような装置はILSのローカライザーです。

ハイドラントシステムを始めとする航空燃料給油施設の管理・運営を行う三愛オブリ株式会社。
航空機への給油作業を担当する会社は複数ありますが、三愛オブリではハイドランドシステムの管理・運営に加えて、この給油業務も担っています。同社では1日約300便に給油を行っています。(※2022年8月実績)
ちなみに、羽田からの離着陸時、東京湾の近くに大きな貯油タンクが見えますが、このタンク1基で8000klから9800klもの航空燃料を貯蔵できるそうです。

拡大する航空需要に対応するため、2007年春から工事を開始したD滑走路。多摩川河口に近い海上に位置するD滑走路は人工島と桟橋を組み合わせた世界初の構造を採用しています。これは豊かな漁場でもある多摩川や東京湾の自然環境を守るためで、沖側の『埋立部』、河口部に位置する『桟橋部』、両者を結ぶ『接続部』、誘導路で羽田空港と接続する『連絡誘導路部』で構成されます。この内、桟橋部は全長約1100メートル、最大幅約524メートルを占めています。桟橋部は長さ約90メートル、直径1.6メートルの鋼管杭約1700本を海底に打ち込み、その上に2500メートルの滑走路を作りました。技術的に難しいと言われた工事でしたが、多くの建設会社が最新技術を駆使した設計・施工を行うことで、100年の使用に耐える滑走路となっています。

旅客機と比べると小さな鳥ですが、機体にぶつかると想像以上のダメージを与えたり、大事故につながることもあります。そこで空港では定期的な巡回や威嚇・駆除などを行っています。とはいえ、空港といった特殊かつ保安上の制限が多い場所のため、誰でも良いわけではなく、航空機の運航や鳥類に対する専門知識も必要となります。羽田空港の場合、バードストライクから航空機の安全を守る業務は国土交通省航空局から委託を受けた「一般財団法人 航空保安協会」が担当しています。業務においては、空砲や音響装置による威嚇だけでなく、どのような鳥類がいるのかを把握して、鳥が住み着かないような対策も行っています。

最近、よく聞かれるゲリラ豪雨や突風といった急な気象の変化。こうした気象の変化は飛行機の運航にも大きな影響を及ぼします。そこで、羽田空港には積乱雲からの下降気流をはじめとする風向や風速の急変(ウインドシアー)を検出する、高性能な「航空気象ドップラーレーダー」をいう装置が設置されています。丸いレーダードームがかわいらしくもありますが、内部には直径7メートルもあるパラボラアンテナがあり、遠く半径120kmもの範囲にわたって、雨粒の動きや大きさなどを観測しています。こうしたデータから風が急変する場所といった情報を航空会社や各機関に提供しています。
飛行機は基本的に風に向かって離陸・着陸を行います。羽田空港には4本の滑走路があり、A滑走路とC滑走路はほぼ南北方向、B滑走路とD滑走路はほぼ東西方向に設置されています。羽田空港から見て、海ほたるや風の塔は南側に位置します。南から北に向かって着陸ということは、北から吹く風に向かって、ということになります。管制官は平均風速や風向にも注意を払っていて、風向きが変わり許容範囲を超えた場合、滑走路の変更を発令します。

コロナ禍前の羽田空港では出発だけでも1日約600便が運航されていました。旅客機は行き先や気象状況、重量によって細かく燃料を搭載します。しかし、空港内に燃料スタンドがあってクルマのように給油するのではなく、地下パイプラインによる「ハイドラントシステム」を使用して、航空機の真下まで燃料が送られています。羽田空港では多くの駐機スポットまでハイドラントシステムが張り巡らされて、その総延長は山手線一周(約34.5km)よりも長い約40kmにも及びます。

滑走路の端には『34L』、『16R』といった文字が記されていますが、これは『指示標識』と呼ばれるもので、すべての滑走路に設置するよう法律で定められています。この数字は進入方向から見た滑走路の方位で、磁北から右回りに測った方位の1/10の数字です。また『L』、『R』は平行する滑走路がある空港で使用されており、Lは左、Rは右を意味しています。海外などで3本の滑走路が平行して配置される場合は中央の滑走路が『C』(センター)と表示されます。ちなみに、表示される文字や位置、大きさも法律で定められています。



空港ランプ内を眺めていると、飛行機の運航を支えるべく、たくさんの“働く車”が使用されていることに気づきます。中には遠目には用途が分からない、シンプルなトラックが機体に接続されていることがあります。このトラックは機内で使用する「飲料水」などを運ぶための給水車で、必要に応じて新鮮な清水(キレイな水)を機体に補充しています。また、お手洗いなどで使用された水は汚水専用のラバトリーサービスカーが別途回収しており、衛生面もしっかりと保たれていますからご安心を!
東京ドーム約320個分、1516ヘクタールという敷地面積を誇る羽田空港。2010年には空港南側に4本目の滑走路が完成したことで、広い空港を見渡すために、合わせて新たな管制塔が建設されました。その高さは管制塔としては日本で最も高く、25階建てのビルにも相当する115.7メートルを誇ります。ちなみに、第2位は2020年に第2滑走路の運用が始まった那覇空港の88メートル、第3位は成田空港の87.3メートルです。
